bR54    カラコ山〜日陰(日陰は2020に記入)


 今出川を遡り、水音消えて道も消える。

間もなく左が明るく開け急斜面に拡がるシダ原、それを突っ切り境界尾根。

稀なる左右の切れ落ちは、左は林右はザレ禿げ。目を展じれば遮るもの無く、

深い谷の遥か先に霞みて見える山の名は・・・。

語源分らぬカラコを越えて東尾根に引き込まれるも元に戻って界を進めば、突如佇む石仏一体。




遠阪地区今出親水公園&せせらぎ園(旧今出地区)〜林道上り詰め〜青垣・山東町境界〜

町界北東進(遠阪峠へ向かう)〜651m〜カラコ山(662.5m三等)〜町境界を外し東尾根〜

653m〜引き返し〜町境界復帰〜役行者石仏〜603m〜引き返し〜

不動岩探し(役行者石仏手前)〜引き返し〜603m〜日陰(497.1m四等)〜遠阪峠。



◎所在地 : 朝来市山東町柴と丹波市青垣町遠阪(旧今出)に挟まれた町境界尾根
         (遠阪峠から南西に延びる町境界尾根)

◎地形図 : 2万5千図   『矢名瀬(やなせ)』

◎山行日 : 2005.10. 1 (土)  曇り       

◎山行条件 : 歩き/単独      Age=58

◎コースの見所 : @親水公園  A荒れた中にも独特の川相の今出川 

            B町境界からの展望 C石仏辺り岩場からの展望(冬枯れの時期?)

◎走行距離 : 往路 @=82.1km A=86.7  往復 171.0km



自宅発(7:03)〜R=175〜丹波市氷上町稲継交左折(8:30/58.8km)〜R=7〜

青垣町小倉交右折(73.3km)〜R=427〜遠阪地区親水公園入り口(79.2km)〜

1・遠阪峠(9:00/82.1km発9:09)〜2・遠阪地区(旧今出)親水公園(9:15 発9:27)〜

3・258m(新砂防ダム 9:35)〜4・マムシ(9:41)〜5・林道終点(9:52)〜

6・(10:22 おやつ 発10:28)〜7・町境界コル(10:53)〜8・651m(11:05)〜

9・(11:15)〜10・カラコ山662.5m三等(11:30 発11:41)〜11・(12:05)〜

12・653m(12:15 おにぎり 発12:24)〜13・(12:30 引き返し12:35)〜

分岐(12:50)〜14・石仏(12:55)〜15・(13:15)〜16・603m(13:22 おやつ 引き返し

13:29)〜A・不動岩探索(13:35〜13:44)〜引き返し〜16・603m(13:52)〜

日陰(497.1m四等)〜17・(14:02)〜18・(14:05)〜1・遠阪峠(14:20 発14:25)〜

自転車で走る〜2・遠阪地区(旧今出)親水公園(14:35 休み 発15:18)〜

青垣町小倉交右折〜R=427〜加美町〜中町〜西脇市〜R=175〜自宅(17:23)



この境界尾根を初めて歩きたいと思ってから何年になるだろう・・・。千原峠から遠阪峠 (313)を歩き終えて現実味が出ていた。ちなみに、「兵庫丹波の山(上)」の著者慶佐次氏は1986年4月に遠阪峠から粟鹿山を歩かれている。「やまあそ」は遠阪峠から界南の谷(林道?)を突き詰めて界尾根の603mに乗って粟鹿山に至っている。もう一組は分水嶺の踏破を目指している「ホワイトバード」でH16.1.10に遠阪峠から歩いているが何処までかは分らない。このメンバーは分水嶺を忠実に歩きそれもワンスパンかなりタフな距離を歩いている(私が今知る範囲)。

今日も妻と2人で行く予定だったが突然妻が行けなくなり、単独と言う事で、急遽このコースに決めた。下山後の事を考えて遠阪峠に自転車をデポする事にして先ずは遠阪峠へ向かい、遠阪峠の町境界を越えた左手の空き地に自転車をデポした。 1・遠阪峠(9:00 発9:09) そしてスタート地点の今は地図から名前が抹消されている今出地区の最奥に在る親水公園の駐車場へと戻った。 2・親水公園(9:15) 車は私だけで直ぐ近くを流れる今出川の水音とヒヨドリの鳴き声が心地よく、初秋を感じながら支度をした。 発(9:27) 

(2)親水公園最奥の駐車場

「元禄十五年の大洪水に遠阪村徳畑の谷川橋に長さ十三尺もの大ミミズが引っ掛かったとか、また同じ日に今出では、大人の頭ほどで胴回りは二尺余りもある大蛇が流されて来たと『柏原藩日記』や『和漢三才図會』にも記されているそうだからまだまだ多くの謎を秘める秘境なのかも知れない」

と「兵庫丹波の山(上)」に著者慶佐次氏は記されている。工事中の砂防ダムまでは以前下見に上がっているがそんなに秘境めいた感じは受けなかったのでそこから奥にそれらしき所が在るのかとても興味を持って歩き始めた。

昨年の台風被害も余り受けていない林道を上って行くと、工事のための道路補強に使われた大きな土のうが流されたり破れて土が洗い出されたりあるいは袋だけになって岩や木に引っ掛かったりして見苦しいままで残っていた。やがて工事中だったダムの所に着くと工事は完了かと思われたがダムには名称や工事会社を標すプレートが未だはまっていなかった。3・258m(新砂防ダム 9:35)

(3)工事完了?砂防ダム
この手前から南の谷へも林道が入っているが地図のダムマークの所までだと思う(ダム工事用道路)

ダムの高さは10m位か・・・。右岸に林道が付いていて谷の奥へ続いていた。「やまあそ」が’04.8.29にこれを突き詰めて界コルから南へ進んでオオジャレからムカエ山へと歩いているがその時のレポを読み直すことなくやって来た。私の山友、太子町の井上さんは慎重派で凄く下調べをされ、色んな情報を得て歩かれるが私は「先入観を持たない方が面白いし新発見をする場合もある」と言う事で一応「白紙」の状態で歩く事にしている。時にはこれが災いになり失敗することもあるが「それもこれもあれも山歩き」みんなひっくるめたのが「山猿の山歩き」。最終的には「歩いた所がその日のコース」って位に思えば気楽に歩ける。がしかし町境界を歩く場合にはそうもいかなく、かなりプレッシャーを受けて歩いている。

工事区間が終わると林道にも草が生えて左の谷川も自然の川相になっていった。スズメ蜂が飛び交う。何処かに巣があるのか?静かに周りを探るが見当たらなかった。今度は前方の地面で何かが動いた、近寄ると30cm位のマムシだった。 4・マムシ(9:41) いよいよ秘境に・・・。林道は何処までも緩い上りが続き、所々で深く洗い流されていた。そして林道の正面に砂防ダムが見えて来てダム手前に倒木が重なっていた。 5・林道終点(9:52)

(5)林道終点
ダムの右側からダムを越えた写真手前の林道の荒れは昨年の台風被害だと思う

先ずは倒木の上に立って道を探すが山肌の傾斜はどちらもきつく道は見当たらなかったが右から上った。土石で埋まったダム上部を歩いて破線の道を探すと谷の左山肌に付いていた。小さな木が枝を伸ばして邪魔をしていたが道はしっかり残っていた。谷の水はまだ水音を立てて流れ、橋が架っていたのだろう石垣も残っていた。自然林から植林に変わって尚緩い上りが続き、何時の間にか水音が消え、左の方が明るくなって来て伐採地が見えて来た。そこから少し上って左から大きな谷筋が交差する所でおやつにした。 6・(10:22) 伐採後十数年(切り株から予想)経っているが広大な伐採地には植林がされてなくシダが覆い始め、低木が点々と生え始めていた。 発(10:28) 

谷の破線を歩く計画だったが倒木で歩けず、谷の左山肌を上ったが高さ腰辺りまでのシダが延々続くので遠回りになるが南の支尾根を上って横へ進みコルに取り付く事にした。シダ原を抜けると草木も生えぬ地肌の急登になった。上ってきた谷筋や後で歩く界尾根やオオジャレへの尾根、そして(7)コルの彼方に東西床尾山だろう山並みも見えていた。コルの高度よりも高い地点まで上って、「ここなら」と思える所からシダを掻き分けながら横ばいに進んで界尾根にたどり着いた。


おやつ後上った尾根から見た町境界尾根・左端7番コル・左8番・右9番・その奥カラコ山・山肌のまだら模様はシダ

界には道のような跡が在り、下草も無く歩き易くコルに着いた。 7・(10:53) 太い柴栗の木が沢山生えていて栗の実も落ちていた。コルから山東町側651mの西面に向けて道の様な形跡を見たがそれが道だったとするとこの急斜面の何処にどのように付いていたのだろう・・・。下草無き急斜面を上り始める、山東町側はシデの幼木(樹高5m位?)が群生していた。気象条件が厳しく大きく育たないのかも知れない。青垣町側は激急斜面にどうにかシダが生え始めていた。途中で振り返ると粟鹿山が覗き始めて、山東町側から上っている林道がチラリと見えていた。

ピーク近くに一塊の大きな岩が有り、そこから傾斜が緩み、倒れて朽ちかけた太い松を越えて最高点に着いた。 8・651m(11:05) 尾根半面展望全開、「やまあそ」がすでに歩いているムカエ山への尾根が長く延びている。進む方向の尾根も右に左にうねって延びていた。遥か先方に見えるふたコブピークが目を惹く『先ずはあのピークまで行って北に折れるのか・・・』実はこの時点で既にコースを読み違えていたのだ。ザレの尾根を進んで 9・(11:15) 2度目のおやつを食べる。ここは立ち木に囲まれて展望無し。

 
(8)と(9)の間からの眺め (6)から(7)へ向かったコース・中奥粟鹿山  (8)からの眺め・前9番・右13番・次12番

ここまで来れば、後は大きな上り下りが無く、しかも単独、“思いのままに歩き回れる”と内心にっこり。(9)を発つと左は自然林も右が桧の植林になってうっとうしくなる。緩く上っていると左が開けて大きな山塊朝来山と山東町市街の中を走る工事中の北近畿豊岡自動車道が見えた。霞んでいなければ感動的な展望だったに違いない。ヤブっぽさから抜けるとカラコ山だった。 10・(11:30) 朽ちかけた対空標識の残骸が立っていて「平成12年2月まで大切に・・・」と書かれていた。ピークから山東町側に少し下ると先ほどの展望が得られた。 発(11:41)

発って直ぐ正面が深く長い谷になって、その両側山肌は植林が切り出されてと言うか殺伐としていて、「切り出し」とも言えない状況、昨年の台風被害も加わっているようにも思えた。『この谷は・・・』と思ったが深く考える事も地図で確認するでもなく左の尾根(辿るべき界尾根)を見捨てて(8)辺りから見ていたふたコブピークの在る右の尾根に入って行った。少しの倒木があるものの下草も無く快適に歩けたが視界は塞がり道草も多し。

現在地確認するが左右に波打ち特徴の無い高低で曖昧なまま進む。 11・(12:05 地形の特徴記録から時間割り出し) 進む内左の深い谷が気になりだす『界尾根の左に谷など在るはずが無い・・・』と思いながらそれでも進んだ。太い杉林、尾根右は自然林で緩く長い上りが続いた。 12・653m(12:15) コース間違いが濃くなっていた。左から切れ込んできた深い谷を眺めながらおにぎりを食べる。尾根の前を見るともう一つピークが在る。 発(12:24) とりあえずそこに立ってみようと短いながら急下り急上りをして 13・(12:30) 

地形と地図の方向がピッタンコ。『えらい遠くまで来たもんだ』さて、どうする・・・。三択に入る @現在地から続きの東尾根に在る597mを経て親水公園へ下る A引き返す B現在地から北西尾根を下って603m辺りに取り付く @の尾根は以前から目を付けていたので悪くなかったが「時間と飲食物は十分体力まあまあ」Bをやっては山猿の名が許さない。と言うことで Aを選択して早々に引き返した。発(12:35) 道草も無しさっさと分岐に戻る。 分岐(12:50)

殺伐とした界尾根に乗って進んでいると切れ落ちた山東町側に次々と現れる巨石(崖)どれが不動岩か・・・尾根から外れて何処かに祀られていると言う不動明王を探したが見つからなかった。岩場は続いたが尾根に戻って歩いているとこんもり林の尾根に石仏が安置されていた。 14・石仏(12:55) 役行者像で高さ65cm幅36cmだった。この部分は人工的と思える平地で何時の頃かお堂が建っていたのでは・・・と思う。  

 
  (14)役行者石仏 東から 石仏近くの岩頭からの俯瞰・中白い線は工事中の高速道路

その後(山東町側)にも岩場が見られ、それに沿って出て行く、つまり凄い岩頭へ下って行った。間もなく視界が開けた(写真)。身を乗り出しても高さは測り知れなかった。結果、不動明王にはお目に掛からず横へ移動して界に戻り、布2本巻きのマーキングをして、未だ何処かに在るかも知れない不動明王を期待しながら進んだ。 15・(13:15) ここから振り返ると太い赤松の間から先ほどの岩場の岩頭が見えて凄い高さの崖と分った。そして次のコブでおやつを食べる。 16・603m(13:22) 「やまあそ」が遠阪峠から上がって来た南の谷からここへ取り付いているコブだ。この辺りからだったか張られて間が無い鹿避け網が出た。

尾根前方を見ると、もう不動明王が祀られていそうな地形でも植生でも無かった。そんな時『もしかすると不動明王はあの崖の裾に祀られているかも知れない』と思い始め、その崖の裾を探しに引き返した。 (13:29) 引き返すと言うことは何時もしんどい。 (A) まで戻って作業道だったらしき跡を下って行ったが (15) の支尾根を巻いていた。手前に小尾根が出てそれを下って崖の麓へ行こうとしたがザレの急斜面で引き返す。戻りのことを考えると下る気にならず尾根の岩から張り出す赤松の枝に登って崖を見ると高さは50mは有るように思えた。

 
カラコ山先の分岐辺りからの境界尾根・中央石仏ピーク  松の枝から眺めた崖

不動岩探索 (13:35〜13:44)
 尾根に戻って引き返し 16・603m(13:52) 直ぐに発った。この辺りにはウリハダカエデが沢山生えていた。この木の紅葉は凄くキレイなのでその時期に麓から見上げるとすばらしいと思う。やがて殺風景な植林帯に入り、いよいよ遠阪峠へ最後の下りとなった。 17・(14:02) Y字尾根分岐でしばらく思案する。そんな時、先に記した「ホワイトバード」がH16.1.10に歩いた時のマーキングがあり尾根の確認が出来た。また小さい赤の角プラ杭も目印になる。又もやY字尾根分岐 18・(14:05) もう回りは薄暗くなっていた。

車の走行音が次第に大きくなって傾斜が急になった所で確かな道が左右に走り、これは何処から何処への道??界から西に下る道を下っていると鉄塔に着いて巡視路だと分った。そこから少し下ると予想通り自転車をデポした空地近くだった。 1・遠阪峠(14:20) 後は自転車のペダルを回すことなく公園入り口まで下り公園へ戻った。 2・親水公園(14:35 ) 



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@

16・603m
←13
18
17・日陰497.1m

2・親水公園

11
10・カラコ山662.5m
8・651m

14

12・653m
15